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夢の島

夢の島_d0103733_028569.jpg



第五福竜丸をみてきた。
新木場、夢の島にそれはある。


東京にきていた友人が
口コミで聞いたから行くというので、
私も連れて行ってもらった。


第五福竜丸の事は
歴史で習った月並みの知識と
渋谷にある、
あの岡本太郎の絵のイメージくらいしか
なかった。


ただ、
うっすらと

いや確実に。


311以後

渋谷を通る時も
岡本太郎展に行った時も
8月6日、9日も

意識しないではいられなかった。


そして

それが現存しているというのだから
これも何かの縁だろうと思った。


東京都立第五福竜丸展示館(http://d5f.org/top.htm


行く前まで
都立であることに何の疑問も持たなかったし、
これだけ意味のあるものなんだから
ものがあるなら
保存して当然だと思っていたんだけど

その日
たまたまお会いできた学芸員いちだまりさんの説明で
いまここに残っているのが
奇跡的なんだと実感。

怖いくらいの
実物の迫力。


第五福竜丸はマグロ漁に出て
日本から遠くビキニ環礁で行われた
アメリカ軍の水爆実験により被爆。

大量の放射性落下物(死の灰)を浴びて
どうにか日本に帰り着いた船は
身を以て日本国民にその事実を知らせることに。

その後
無線長の久保山愛吉さんが
半年後に血清肝炎で亡くなっている。


しっかり除染されたあと
名前を変えて使われた船は
信じられないけど、

最終的には
船の墓場になっていた夢の島に
ゴミとして捨てられていたんだそう。


そしてそれが第五福竜丸だと解ってからも、
この展示館ができるまでの数年間、
海に浮かんで雨ざらしになって
沈みそうになりながらも
保存をしようと声をあげたみなさんの
想像を絶するような努力で
こうしてここに現存している
という事実。


それは
私は全く知らなかったのだけど
ビキニ沖の水爆実験が幾度も行われていた当時、
遠洋漁業の魚は原子マグロと呼ばれるほど
ガイガーカウンターが数値を示し、
廃棄されて魚屋は困り、
日本にも放射能を含んだ雨がふって
日本中が混乱して
人々はこの先の生活に不安を覚えたが為に、
原水爆反対を唱えたという
原爆投下から9年後に起こった出来事だったから?

展示されていた
その当時の新聞は
まるで、インターネットを賑わしている
今の話題さながらだった。

いくつかの文献の中に
核の平和利用がされますように、
といったものがあって
どうしてもひっかかってしまった。
去年ならそうだね、
戦争怖いね、

ともすれば
私からすりぬけていた文章。

爆発自体に巻き込まれた人はいなかったとして
少なかったとして

予想の3倍の範囲での
直接死に至らしめる影響力はもちろん

世界中をじわじわと蝕む毒に
みんな怒った。


今、
日本で起きているのは
そういうことなんだ。
と再確認する。

なるべく見てみないふりをしたくなる。
自分は関係ないと思いたくなる。


第五福竜丸を見に来て
半世紀前、こんなに怖かったのに
なんで忘れていたんだろう

反省して帰る年配の方も多いんだそう。


ただ、
実際違うところにいる私が
心を寄せて同調しても
それは迷惑な気がしていて

だからそれよりは
関心を持って
問題の糸口を探る
知って、動く事
伝える事が必要なんだと
強く思う。

何事も。


そこで
思い出すのは
夏に会ったあのお客さんのこと。


私は知らない事が
まだ

たくさん、ある。


知らない方が
幸せな事はきっと多いけど

それでも
知っていきたいと思う。


そんな、
暑さ残る
秋の最初の日のはなし。
by feeljazzin | 2011-09-02 00:03 | 思うところ
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